複数の課題を抱えた世帯を丸ごとサポート―杉並区「在宅医療・生活支援センター」を視察しました
「8050問題」のように、ひとつの相談機関だけでは対応が難しい、複合的な課題を抱える方が増えています。
そんな現代的な課題に対応するため、2019年3月に開設された杉並区「ウェルファーム杉並」を視察してきました。
就労支援センター、生活困窮窓口、福祉事務所、成年後見センター、消費者センター、社会福祉協議会など、困りごとをキャッチしやすい相談支援機関が、ひとつの建物に集結した複合施設です。
そこに「在宅医療・生活支援センター」という新たな機関を設置した、というのが、この施設のポイントです。
高齢者担当、障がい者福祉、生活保護……と、タテ割りでバラバラに対応していると、その方、あるいはその世帯の抱える”本質的な課題”が見過ごされたまま、支援が有効に機能しなかったり、ときには支援が滞ることもあります。
そんなとき、複数の相談支援機関の調整に入り、「支援機関を支援する」のが、「在宅医療・生活支援センター」の役割です。
それぞれの支援機関から状況を聞き取り、「支援会議」を設定し、複数の分野にまたがる支援をひとつの「支援計画」にまとめあげ、世帯を丸ごとサポートします。
困難ケースほど、こうした仕組みは有効に機能しそうです。
西東京市でも今年2月、庁舎移転と組織改組が行われ、田無庁舎1階に、ワンストップの相談支援窓口が開設されます。
「どんな相談も断らない窓口」と打って出るのは、行政としても不安が大きいことでしょう。
支援機関をバックアップできる体制を、庁内でしっかり確立できてこそ、市民をたらい回しにしない相談支援が可能になります。
どの自治体でも、自らの特性、長所を生かした庁内連携をどう作れるかが課題だと、改めて実感できた視察でした。