子ども参加も意見表明もまだまだ?!――森田明美先生からの叱咤激励を受けて
唐突ですが、森田明美先生をご存知ですか?
「自分の住むまちに、子どもの権利条例をつくりたい!」と思っていらっしゃる方なら、よくご存知かもしれません。
日本でなかなか進まない、「子どもの権利」の具現化に向けて実践を続ける研究者グループのお一人で、子どもの権利条約総合研究所の顧問を務める東洋大学名誉教授です。
西東京市では、もう20年来、森田先生が子ども・子育て審議会の座長を務めています。
そのおかげで西東京市の子ども・子育て施策は骨太です。
たとえば、保育園民営化の波が押し寄せた2000年代。
西東京市では、当時17園あった公設公営保育園のうち7園を公設民営化する方針を打ち出しました。
それとあわせて西東京市では、残る10の公設公営保育園のうち5園に、①地域の子育て支援機能を付加する、②市域を5ブロックに分け、地域の「基幹型保育園」として、民設の保育園とも連携し市全体の保育水準を確保する、という役割を課しました。
そして、民営化によって生じた余剰人員(ベテラン保育士)を基幹型保育園に配置し、保育園の中に「地域子育て支援センター」を設置したのです。
保育園の民営化を単なるコストカットに終わらせないダイナミックな政策転換によって「保育における公の役割」に新たな付加価値を与えることができたのは、森田先生が審議会にいらしたおかげだと思っています。
そんな森田先生の学習会に久々に参加しました。
(東京・生活者ネットワーク主催「子どもにやさしいまちづくりって何だろう?」)
審議会での采配ぶりも何度も傍聴してきましたが、今日ほど迫力を感じたことはありませんでした。
「子どもの権利というのは、女性参政権と同じく『獲得していく』もの。放っておけば、めちゃくちゃに侵害されてしまう」
「西東京市では2018年に子ども条例をつくった。でも、子ども参加はまだまだ不十分。せっかくたくさんの学童、児童館を持っているのに、子ども参加になっていない。」
「『子どもの声を聴く』と言うが、どういう場面で聴くのか。その子に必要な情報を、その子にわかる言葉やイメージできちんと提供できなければ、子どもは意見など出せない。それらをきちんと担保できているのか。」
「いくら審議会の委員を長年務めても、私は西東京市の住民ではないから条例を具現化できない。どんな自治体であっても、子どもの権利を具現化させようとする大人たちがいなければ、子どもの権利は具現化しない。」
「子ども支援」に取り組む大人たちは着々と増えている西東京市。
コロナ禍の中、市内19ヵ所にまで増えた子ども食堂をはじめ、中学校の放課後カフェやコミュニティスクールの取り組みなども活発化しています。
自分たちの運営する「場」の中で、笑顔で過ごす子どもたちを見てちょっと満足している自分がいました。
でも、それだけじゃダメなんだな、と強く実感させられました。
子どもたちが活躍できる場や安心して意見表明できる機会が、地域にあるか?
という問いかけが、自分自身に必要だと感じました。
子どもアンケートなども行われていますが、それって子どもたちが意見を言いたいテーマなのか?
子どもがいま、「自分たちの意見も聴いてほしい!」と思っているテーマは何か? という問いも必要です。
子どもが多くの時間を過ごす学校や学童、児童館などのルールを、子ども目線で見直していくことも…。
まず変わらなければならないのは、私たち大人の側ですね。
実践あるのみ!