暫定予算が成立――6月の本予算に向け財政状況を厳しく注視します

暫定予算とは、地方自治法第218条第2項に定められた「一会計年度中の一定期間に、必要最小限度の経費の支出を可能とする予算」のことです。
今年は選挙によって市長が交代したこと、またコロナ禍における予算の収支が取れず、選挙直後に通年予算を組むことが難しいとの理由で、4月~6月の3か月間を暫定期間とする予算編成が行われました。なお、本予算は6月に改めて示されることとなっています。

コロナ禍における市民生活にこれ以上支障を来さぬことを最優先とし、生活者ネットは本暫定予算に賛成しました。しかし、審査を通じて、行政不信がまたも積み重なる事態となったことは看過しがたく、厳しく指摘しました。
以下、長文ですがお時間のある時にお読みください。

**********************************************(以下、賛成討論からの抜粋)
予算特別委員会当日の朝、執行部より急きょ審査前に説明がしたいとの話があり、貴重な委員会審査は6時間にわたり止まりました。
この時点で初めて私たちは、「西東京市の公園管理の指定管理者が、社員の資格不正取得問題で国交省より指導を受けていた」事実を知ることになったのです。
なぜ、このタイミングでの報告となったのか。いまだに理解に苦しみます。
本事案について、生活者ネットが問題と感じた事項は以下の3点です。

問題1 市の遵法精神に欠ける対応
令和2年6月18日、公園指定管理者を所管するみどり環境部は、西武パートナーズの代表団体である西部造園株式会社が、建設業法に違反する行為を行ったとの認識を持ちながら、市長・副市長への報告でとどめ、議会および庁内への情報共有を見送りました。公共的な仕事の一部を請け負う事業者に対し、本来市は、より高いレベルでの法令順守、コンプライアンスを求める立場であったはずです。にもかかわらず、「市の業務に直接の影響があるか」といった程度の問題意識しか持てなかったことは、行政としての遵法精神に欠けると言わざるを得ません。

問題2 議会にも庁内においても、情報開示が不徹底
審査に関わる重要情報が伏せられたまま、選定委員会による選定および市議会・建設環境委員会の審査が行われたことは、遺憾としか言いようがありません。「選定は適正に行われた」との答弁が繰り返されましたが、仮に、本件に対する情報が共有されていたならば、当然のことながら、審査に何らかの影響はあったはずです。今後、万が一にも指定管理業務に支障が生じるようなことがあれば、議会の議決責任も問われます。そうなった場合、理事者側で情報を止めたことの責任を、一体どなたが負うのでしょうか。

問題3 調査能力に欠ける対応
今回の事案を受け、いま最も危惧するのは市の調査能力です。「なぜいち早く情報共有をしなかったのか」との質疑に対し、担当からは「昨年6月の時点では、不確定な情報ということで動きづらかった」といった御答弁がありましたが、事業者からの情報提供に疑義があると感じた時点で、なぜ、市自ら、客観的事実を把握するための行動を起こさなかったのでしょうか。すでに昨年6月12日、国交省はプレスリリースで、「当該事業者による資格不正取得」を事実として公表しています。担当が問題意識を持って調査能力を発揮すれば、こうした情報には容易にたどり着けたはずです。事業者からの情報のみに依拠し、ただただ報告を待つ姿勢に課題はなかったのでしょうか。

同社の社内風土を懸念する同僚議員からの質疑に対し、「今回の事案は悪意のあるものではなく、チェック体制の不備であり、今後改正されるというので社内風土は懸念していない」との御答弁がありましたが、これらが事業者側のプレスリリースに基づく見解であったことには、強い危機感を抱かざるを得ません。市はまさにこれから、公共施設整備や公的不動産管理に、官民連携事業を積極活用しようとしていますが、このようなことがあると、はたして民間と対等な議論ができるのか、民間企業の提案の言いなりになるのではないかとの不安を感じざるを得ません。

今回、第三者委員会の調査報告を国交省がプレス発表したことが、議会への情報提供の契機とされたことも、大変残念でした。市は地方政府として、自ら判断し決定する統治権限を有しているのですから、あらゆる場面においてその権能を十分に発揮すべきと申し添えておきます。

***************************(以下、暫定予算に対する生活者ネットの意見と要望)

本暫定予算について生活者ネットが注目した項目につき、以下4点に絞り意見を申し述べます。

意見1 災害廃棄物処理計画の策定プロセスは再検討すべき
一般廃棄物処理基本計画および災害廃棄物処理計画策定については、両方同時に廃棄物減量等推進審議会に諮問し、審議をするとのスケジュールが示されました。しかし災害廃棄物処理計画は地域防災計画を補完する計画であり、東京都災害廃棄物処理計画との連携が必須であることから、担当組織は防災や土木・建築はもちろん、学校の校庭活用も考えられることから教育部門も含むべきです。廃棄物減量等推進審議会への諮問・審議で策定するのでは不十分と考えますので、策定プロセスの再考を求めます。

意見2 両親が離婚した後も、養育費が確保できるよう補助制度の創設を!
養育費確保事業については、これまで30件の相談があったにもかかわらず、1件も支援につながっていないことがわかりました。離婚前に相談ができる日を設けたり、公正証書や調停証書作成の補助制度を創設するなど、実際に養育費確保へつなげるための方策を速やかに検討するよう求めます。

意見3 クラスター防止のため、社会的PCR検査をもっと積極活用すべき
高齢者・障害者のPCR検査事業については、令和2年7月9日にさかのぼっての適用が可能となるにもかかわらず、障害は70施設中17施設、高齢は118事業所中わずか5事業所と利用が伸びていません。緊急事態宣言が解除され、感染再拡大への懸念が高まっています。重症化リスクの高い施設における無症状者を確実に捕捉するため、事業所が検査を受けやすい環境整備に取り組むべきです。

意見4 危険な旧市民会館は早期に除却を
旧市民会館の除却については、耐震改修促進計画との整合性を図る上でも、中央図書館・田無公民館の耐震化工事とあわせ、本暫定予算に計上すべき事業でした。耐震診断未実施の公共建築物が大規模災害で倒壊し、緊急輸送道路の災害救助・災害輸送を妨げるようなことはあってはなりません。本予算への計上および早急な対応を求めます。

質疑を通じ、西東京市の収入と支出に、現段階で「11億円の乖離がある」ことがわかりました。
池澤市長は、どのような手腕で財政を均衡化していくのでしょうか。
厳しい財政状況から逃げることなく、後年度負担をむやみに積み上げることなく、またコロナ禍の市民ニーズを見逃すことなく、本予算の編成を進めていくことを注視しています。

小金井公園ではウコン桜が咲き始めています