私たちはもっと怒っていいはずだ――共謀罪法案が強行採決

共謀罪法案が5月23日、衆議院をあっさり通過しました。
法務委員会での審議はわずか30時間、それも「ビールと弁当を持っていれば『花見』、
双眼鏡と地図を持っていれば『犯行現場の下見』」などと、
およそまともとは言えない答弁で時間をしのぎ、「審議を尽くした」などと言ってのける政府の感覚に、
どこまで国民をバカにするのかと、久々に腹の底から怒りを感じました。

いったい誰のための共謀罪法案なのか。
わたしたちは一度たりとて、「内心の自由」を奪う危険な法律の制定など望んでこなかった。
むしろ、それを望んでいたのは、国家権力の側だったはずです。
それを安倍さんに、「国民の安心・安全のため」などと言ってほしくないのです。
しかも、刑法学者や弁護士など、法の専門家が異口同音に警鐘を鳴らしているにも関わらず、
それらの声に耳を傾けもせず、不安を唱える市民の声に向き合おうともせず、
秘密保護法、安保関連法のときと同じように、一部の国会議員が数にものを言わせ、
当たり前のように強行採決という手段で押し切った。
またしても、わたしたち国民は置き去りです。

国家を守るために、わたしたちの人権を侵害するかもしれない法案が作られようとしていることに
わたしたちは、もっと怒っていいんじゃないか。そう思います。

とはいえ、共謀罪法案はどこか他人事で、まだ自分事としての理解が進んでいないのも事実です。
ですが今日、友人からこんな話を聞きました。
「昨日、署名活動をお願いした友人に、『署名したら、共謀罪にならない?』と聞かれて愕然としちゃった。」

また、もう一人の友人は言いました。
「先日の集会で、『もし共謀罪が通ったら、わたしたちはどんなことに気をつければよいですか』と質問した人がいたの。檀上にいた弁護士の先生がすかさず「いつも通りにしてください」と答えてくれたけれど、共謀罪の一番怖いのはそこだよね。誰もが自分のふるまいに気をつけるようになるってことは、それこそ政府の思うツボでしょ」

もしも普通の市民が、国家の意向を忖度するようになるのだとしたら。
政治の話題や政府の批判を、口にするのをためらうようになるのだとしたら。
わたしは、そんなの嫌です。やっぱり共謀罪は、他人事ではないのです。
だから、わたしたちは自分事として、こうした政府のやり方に怒る権利があるのです。