自前の庁舎を持たない、という選択――愛知県高浜市視察
5月9~10日に、庁舎統合方針検討特別委員会の視察で、愛知県高浜市と新城市へ行ってきました。
老朽化した庁舎を長寿命化して使うのか? それとも建て替えるのか?
新たな移転先に新築するのか?
高浜市の採用した手法は、「市の敷地に事業者が建てた新庁舎を、市が一定期間リース契約で借り上げる」という、目からウロコの手法でした。
借り物の庁舎とはいえ、もちろん設計や建設コストは市の意向通り。
保有形態を見直しリース契約にすることで、庁舎建設に必要な初期投資が事業者持ちとなり、支払いも維持管理費込みで平準化されるわけですが、財政難の折、自治体にとってそれこそが最大のメリットなのだと思います。
庁舎に限らず老朽化した公共施設は市内にたくさん。それが今後、次々に更新時期を迎えるのです。庁舎整備にかけるコストは、なるべく低く抑えなければなりません。
リース期間が終了するのは20年後。事業者がコストをすべて回収し終わってからもなお、施設の耐用年数は約20年ほど残ります。
更地にして跡地返還とするのか、事業者と再リース契約を結ぶのか、建物を市が買い取るのかは、人口動態や行政サービスの提供方法の変化、IT化の進展を見極めた上で、その時に改めて判断するとのこと。
課題ももちろんあるそうですが、よく考え抜かれた賢い手法だと思います。
「市役所を自前で持つ必要はない」というのが高浜市長の持論だそうです。
一瞬「えっ?」と思ったものの、たしかに民間では自社ビルを持たない企業の方が多い。
高浜市の事例がリーディングプロジェクトとなって、今後、庁舎を持たない自治体も増えてくるかもしれません。