市長はなぜ、自らの言葉で語らないのか――「不適切な事務執行」について質疑しました

「不適切な事務執行により多大なるご迷惑をおかけし、著しく信頼関係を損ねる結果となった。
深くお詫び申し上げます。誠に申しわけございませんでした」

市長、教育長の謝罪からはじまった、異例の9月議会初日。
約42,000人に影響を与える介護保険料の徴収ミス。
そして生活保護受給者に対する住宅扶助の認定漏れと、21ヵ月分の家賃未払い。
非常に重い案件に対し、生活者ネットとして厳しい質疑を行わざるを得ませんでした。
市長からの報告に対する、かとう涼子の質疑は以下の通り。
(長いため、一部のみ抜粋)

市長は「特別徴収」に対する市民感情を理解しているのか?
かとう)まず、市長は特別徴収の意味をどうとらえているのか。
年金から天引きされる特別徴収が市民によってどう受け止められており、今回のミスがどういう意味で致命的なのかをお答えいただきたい。

健康福祉部長)高齢者が自分で支払いに行くことなく、負担をなくす徴収手法であると考える。
負担をお願いすることとなり大変申しわけない。

かとう)改めて市長に、特別徴収に対する認識を伺う。
部長からは「市民に負担がない徴収の仕方」との発言があったが、極めて行政的な認識だ。
特別徴収は年金という個人の財産に、行政が公権力を行使する強い制度。
特別徴収で負担が少なくて済むのは、むしろ行政の側だ。
「介護保険料が値上がりし、年金から天引きされるのは辛い」「特別徴収をやめたい」と思っている市民に対し、「行政がミスをしたので、追加納付の手続きをしてください」などと言えるのか。
後処理はおそらく過酷なものとなる。その難しさを市長はどう受け止めているのか。

丸山市長)おっしゃるように、これは本人の意思に関わらず、強い、そういう意味ではそういう枠組みの状態である。
今回、市民に対する信頼感を損ねたことは非常に重く受け止めている。
冒頭説明したように、しかるべき時に責任を取らせていただきたい。

滞納や延滞金などのペナルティはあり得ない
かとう)介護保険料を滞納した場合、サービス利用料が全額自己負担になったり、サービスが受けられなくなったりなどのペナルティが科される。
行政のミスで生じた案件でペナルティを生じさせないため、国に対し具体的に何を働きかけているのか。

健康福祉部長)納期の設定や滞納・延滞金の考え方、利用制限の考え方について、現在、国に照会をかけている。

かとう)市長自ら、どのように取り組んでいかれるのか。
担当部署に任せるのでなく、市長自ら率先して取り組むべきではないか。

丸山市長)部長答弁にもあったように、国に問い合わせたりという中でやっており、その方向でこれからも相談していきたいと考えている。

後処理に市民の税金を投入してよいのか?
かとう)後処理に対し、市長は「新たな予算措置を講じざるを得ない。予備費で対応する」とおっしゃったが、それを市民の税金でやるのか?
追徴にかかるコストも膨大だ。
42,000人のうち26,900人が、1,000円以下の追加徴収ないし還付となる。
これらを人海戦術で対応するならば、効率の悪い作業となるだろう。
それも市民の血税でやるのか。

健康福祉部長)高齢者の中には、移動が困難な方もいらっしゃる。
職員が体制を整え、なるべく早く対応してまいりたい。

副市長)新たな財政負担として、今回、予備費でまずお知らせの郵送料、手当てをさせていただいている。
今後ご審議いただく補正予算の中でも関連予算を計上したが、これらはすべて市民の皆様におさめていただいた貴重な財源、税金だ。
この度の事案については、市民の方に一切の責めは無く、すべて市の責任である。
その意味から、新たな財政負担についても、今後示す責任の取り方の中でしっかりと対応させていただく考えであるので、ご理解をよろしくお願いしたい。

かとう)追徴コストと不能欠損処理について、市長ご自身はどうお考えなのか。
市長の言葉で聞きたい。
市長の任期があと半年のところで、このような事が起きた。
膨大な事務処理、コストは後年にまたがる。「置き土産」とされても本当に困る。
あと半年の任期中に、市長は何をしていくのか。

丸山市長)部長答弁にもあったように、市民が不利益を被らない形で対応していければと思う。

<質疑を終えて>
本来であれば市長が答えるべき質問に対し、沈痛な面持ちで答弁するのは部長と副市長ばかり。
丸山市長は執行部の陰に隠れ、ご自身の言葉ではほとんど何も語れない。
組織の一大事に対し、まるで他人事のような答弁に、あらためて市長は現場の仕事にも市民の不利益にも、あまり関心がないのではないか、と感じざるを得ませんでした。
再発防止に向けた取り組みについては、一般質問でさらに質していきます。