困った!どうする? 「ごみ屋敷」のこと
「近所にある『ごみ屋敷』が気になっています」という相談をいただきました。
もう何年も前から玄関の外へビニール袋がはみ出し、山積みになっているお宅です。
「いつか放火されるのではないかと思うと不安です。行政にも相談したのに、いっこうに進展がない。どうにかならないのでしょうか」
――相談者の不安はごもっともです。
ただ、ごみ屋敷の問題は非常に悩ましい…。
私たちから見ればごみでも、居住者にとってごみでなければ、勝手に処分することはできないからです。
ごみがあふれて歩道にはみ出してくれば別ですが、敷地内に収まっている場合は、強く指導することもできないと行政は言います。
「ごみ屋敷条例」があっても、強制撤去は難しい
では「空き家条例」のように「ごみ屋敷条例」を制定し、行政に強い指導、勧告、命令の権限を持たせ、処分を拒否する場合は強制代執行をさせるなどの対応はできないのでしょうか?
私には、あまり現実的な策ではないように思えます。
なぜなら、危険な空き家に対する指導、勧告、命令ですら、その効力には疑問が残るからです。
まして空き家と違い、ごみ屋敷には居住者がいます。
居住者が納得していないのに、地域がごみの撤去を訴え、行政が代執行すれば、居住者と地域との関係性が悪化し、日常的なストレスや緊張感が高まる可能性もぬぐい切れません。
ごみをため込んでしまう人の中には、人間関係がうまくいかなかったり、精神疾患を抱えているなど、福祉的なサポートを要する方もいます。
まずはどのような事情でごみ屋敷に至ったのか、その人の抱える課題を理解し、支援の方向性を丁寧に見極める必要があります。
何度も話を伺う中で「ごみを処分したい」との言葉をいただき、社協、包括、ごみ減量課と連携して撤去、その後福祉的なサービスにつないだケースもあります。
ただ、ご本人に困り感が無い場合などは、なかなか悩ましいのが現実です。
行政に相談したのに、その後、誰がどう対応しているのかが見えないのは、市民にとって不信のもとです。
地域共生課、高齢者支援課などの福祉部門がごみ・環境部門と情報連携し、支援の方向性を調整する会議を開催すること、担当部署を明確化し進行管理を行うことを、市長に対し求めています。
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