市民会館の存廃について、市の方針案が示されました

2月15日の文教厚生委員会に、「西東京市民会館」と「中央図書館・田無公民館」を今後どうするかの方針案が示されました。

どうなる?市民会館 
市から示された対応方針(案)は以下の通りです。
①老朽化した市民会館は2018年度末(2019年3月31日)をもって閉館、建て壊す。
②同じ場所に、官民連携による新たな施設整備を行う。市保有の敷地は定期借地として貸出す。
③市民会館利用者を考慮し、新たな施設内に約800㎡程度の「必要な活動場所」を確保する。

定期借地方式で「あくまでも暫定利用」とした上で、必要な市民活動スペース分は確保し、本格的な文化施設の建設は、こもれびホールの耐用年数(あと30年程度)を見据えた上でおいおい検討する、という考え方のようです。

拙速な「閉館」方針
12月議会での質疑で、ある程度予測はついていたことでしたが、1年後に閉館というのはずい分拙速だな、という印象です。
「2020年度末(2021年3月31日)までに耐震化率を100%とする」という市の耐震改修促進計画になぞらえるならば、閉館を延伸する余地もあるのではないでしょうか。
同時期に「中央図書館・田無公民館」の改修工事も予定されています。
市民、利用者の意見を伺いながら、市民活動にかかる不利益を最小にする工夫が必要です。

官民連携で問われる市のイニシアチブ
市の想定している官民連携事業の妥当性も気になります。
定期借地を使って、この市民会館の地で商売ができる、利益が回収できると判断する開発事業者がどれだけ出てくるか。
市はあくまで期間限定の貸し出しをイメージしていますが、事業計画期間に対し、市がしっかりとイニシアチブを取れるかどうかが非常に重要なポイントとなります。
それに対する市の答弁は、「事業期間は重要であり、今後のサウンディング調査の中で調整、整理していく」とのことでした。

施設の規模・機能については、まだまだ議論の余地あり
「必要な活動場所」として、市から出された資料は以下の通りです。

・会議室(2室)計50㎡(備考:10~20人程度の利用に対応)
・多目的室(4室)計460㎡(完全防音、一部軽防音、一部鏡面壁)
・スタジオ(2室)計40㎡(完全防音)
・共用部分 計140㎡(学習機能、ギャラリー含む)
・その他 計110㎡(事務室)
合計 800㎡

完全防音の多目的室や、中高生が利用可能な学習室を望む声は一定程度反映されていますが、これまでの意見聴取は、主に現在の市民会館利用者中心のみ。
市財を投じる文化施設である以上、公平・公正に、広く一般市民に理解を得た上で、潜在的なニーズも踏まえた計画とすべきと申し述べました。

方針決定はあくまで今年度末(3月末)まで。しかし、「必要な活動場所」の議論は新年度をまたいで市民参加で検討する、「意見の出しやすいワークショップ形式など、工夫したい」というのが市からの回答でした。

「3館合築」の失敗を教訓とするために
市民不在のまま行政提案された「3館合築構想」が議会の強い反対を受けて撤回され、その結果として「市民会館」「中央図書館・田無公民館」のその後が今、個別に検討されています。
白紙撤回をネットとして強く訴えたこともあり、そのこと自体に異論はないのですが、一方でもやもやした気持ちもあります。

図書館、公民館、市民ホール、そして庁舎。
どこにどんな施設を、どのようなコンセプトで配置するかという議論こそ、まず市長が先頭となって市民参加で行うべきでした。
まずまちづくりのグランドデザインを描き、それをもとに一つひとつの施設の具体について考えていく、という手順をまちがえてしまったために、ややこしい袋小路に入り込んでしまった感はぬぐいきれません。

総論を語りあえる魅力的な場を、どうセッティングできるか。
一人でも多くの市民に参加してもらい、信頼と合意のフィールドをどこまで広げられるか。
それがあってはじめて、施設ごとの存廃という厳しいテーマについても、建設的な議論が可能になるのではないかと思っています。
3館合築の教訓を、これからのまちづくりにしっかりと生かしていきたいと思います。